threadやXでよく見かける「帝王切開vs自然分娩」の対決ってありますよね。。
いろいろ思うところはあるのですが…
自然分娩しか経験がないお母さんだと、帝王切開ってどんなことしているのか?や、手術ってどんな感じ?ってことわからないですよね。
そこで今日は、
- 帝王切開の時、オペ室では何が起きている?
- 帝王切開と自然分娩って、結局どっちが楽なの?
ということについて、オペ看であるわたしの見解を述べたいと思います!
「どっちが楽」とか、ない!!!
結論から言いますね。
分娩方法に、どれが楽でどれが1番いいとか、順番をつけることなんてできません!
どっちが勝ってる負けてるとかも、ありません!
このくだらない論争…なぜ定期的に起きるのかわかりませんが、母子共に健康で元気に出産を終えられたらそれだけで良いんです!
つらかったから偉い!とか、痛くなかったから楽してる!とか、そんなこと一切ないです!
わたし自身は自然分娩と、無痛分娩の経験しかありませんが、オペ看としてたくさんのカイザーしたママの術前、術中、術後に関わってきました。
だから、絶対にこれだけは自信を持って言えます。
どんな分娩方法でも、妊娠時間を乗り越えて出産したママたちは、みんなすごいしみんな偉いんです!
どっちが楽か?どっちの方が大変だったか?そんなくだらないこと、考えるの今すぐやめましょう。なんのメリットもないです。
これが、今日のわたしが1番伝えたいことです。
ここまで読んでくれたら、このあとは興味のある人だけ読み進めてください👍
帝王切開って、そもそもどんな人が適応?
帝王切開の対象となる人は様々ですが、
赤ちゃんがお腹の中で骨盤位(=逆子、ベッケンとも言います)だったり、
多胎妊娠のママだったり、
帝王切開の既往があるママや、
一度子宮にメスを入れたことのある人(子宮筋腫とか)などなど本当に様々な適応があります。
帝王切開(=カイザー)は、大きく分けて「予定カイザー」と「緊急カイザー」に分けられます。
予定カイザーは、分娩が始まる前からカイザーする計画を立てているとき。逆子ちゃんや、多胎妊娠、全前置胎盤などの場合は事前に予定を組んでカイザーを行います。
緊急カイザーは、読んで字のごとく事前の予定はなく緊急で行われるもの。
例えば、1人目をカイザーで産んでいるママが、事前に組んだ予定カイザーの日の前に陣痛がきちゃったときや、自然分娩中に分娩が止まってしまったり、赤ちゃんが苦しくなってきたときに、緊急でカイザーを行う場合などがあります。常位胎盤早期剥離なども緊急カイザーになることがほとんどです。
帝王切開って、手術室でどんなことをするの?
※わたしがカイザーに関わっていたのは今から7年ほど前です!その頃から変わっている部分もあると思いますのでご了承ください。
入室時
他の手術と同様に、オペ室へ入る前に本人確認をします。
フルネームを名乗ってもらったり、手術部位を確認したり、施設によって方法は様々。
「お腹大きいんだから間違えるわけない!」と思われるかもしれませんが、手術時の患者さんの取り違え事故は過去に実際に起きています(カイザーのママではありませんが)。
ここはオペ看としては、ぜひスムーズにご協力いただきたいところです。陣痛中でつらい、痛くてそれどころではない場合も、力を振り絞って協力してください。
入室~麻酔開始
手術室へ入室したら手術台へ横になります。
心電図のシールや血圧計、体内の酸素濃度を測るパルスオキシメーターを装着して、最初のバイタルサインを確認したら横を向いて麻酔を始めていきます。
着てきた術衣を脱ぎ、背中を大きく開けて麻酔科医が触診している辺りを突き出すようにして海老のように丸くなります🦐
このとき注意して欲しいのは、上になっている肩が前に倒れないようにすること!
前に倒れてしまうと、脊椎がねじれて穿刺が難しくなってしまいます。背骨の間から針を進めていくので、ねじれてしまうとその間が狭くなってしまうのです。
決して楽な姿勢ではないので、その姿勢でいる時間を短くするためにも目いっぱい丸く🦐なることと、上の肩が倒れないようにする事を意識してみてほしいです!
硬膜外麻酔(=エピ。痛み止めの細い管を留置して、術中・術後の痛みのコントロールのための薬剤を投与します)がある場合は、先に行います。
その後、同じ向きのまま脊椎くも膜下麻酔(=スパ、スパイナル、ルンバールともいいます。いわゆる、下半身麻酔のことです)を行います。
穿刺中に、足先の方へビリッと電気が走るように痺れが出ることがあります。このときはなるべく動かず、どっちの足にビリッときたのか、今も続いているのかを口頭で教えてください。それを聞いて、麻酔科医が針の位置や方向を調整します。
背中の麻酔が終わったら、ゆっくりと仰向けに戻り、一気に手術に向けた準備が進んでいきます。
麻酔終了~手術開始
あれよあれよという間に両手は開かれ、胸のあたりにカーテンが立てられ、足元は見えなくなります。
その頃、お腹の方では準備の真っ最中。助産師さんが胎児の心音を確認したり、産科医が内診をして子宮口の開きをみたり、児頭を確認したり。その合間にオペ看がおしっこの管を入れたり。。。
その間のママは、麻酔の影響で血圧が下がって吐き気が出たり、息苦しさが出てくることがあります。
その時は、遠慮せずに看護師や麻酔科医に伝えてください!我慢してもそのつらさがなくならないことが多いです。お薬を使うことで、不快感が軽減することと多いです!
つらいことや不安なことがあれば、いつでも声をかけていただいて大丈夫ですからね🙆♀️
手術中
先生や器械だし看護師の準備ができたら、いよいよ手術が始まります。
手術が始まる前には、「タイムアウト」と言って、手術に関わる全員が一度手を止めて、患者さんのフルネームや予定術式、血液型、予想される出血量、手術時間などについて確認します。
これも施設によってやり方は様々ですが、行っていない施設はかなり少数だと思われます。
手術が始まってしまえば、あとはあっという間に進んでいきます。
手術を受けるママが、話していた方が気が紛れそうなときや、お話好きそうなときは麻酔科医や外回り看護師もママとお話することもあります。逆に、そっとしておいてほしいママであれば、そっとしておくこともあります。
ここはケースバイケース。喋りたい!や、反対にあまり喋りたくない…など希望があるときは、ぜひ担当の看護師に伝えてくださいね😊
お話しながら、実は外回り看護師もいろいろと仕事をしています。バイタルサインを確認しながら追加の薬剤を準備したり、羊水が出てきたらその量をカウントしたり、赤ちゃんが出た後のガーゼカウントに向けてガーゼを拾ったり…
器械だし看護師は、とにかく的確に器械を渡していきます。カイザーは基本的に流れは一緒なので、使う器械も決まっています。そして、早い先生なら数分で赤ちゃんが出てくる…!もう、必死。施設によっては、手技を完璧に覚えるまでは手洗いさせてもらえないところもあるようです…!
赤ちゃんが産まれたら、赤ちゃんはウォーマー(赤ちゃんを温めるためのベッド。酸素投与ができたり、ライトがついたりします)で最初の診察を受けます。
ママは胎盤を出して、アトニン(=子宮収縮薬)を投与したら、ものすごいスピードで子宮を縫っていきます。
と、同時に器械だしと外回り看護師でガーゼのダブルカウントを行います。
子宮は、筋肉でできています。筋肉は血流が豊富なので、縫い終わるまで基本的に血が止まらない。急いで縫っていくし、血が出る分ガーゼはたくさん使うし、カウントはしなくちゃいけないし…ここは1番大変なところです。
カイザーの一番怖いところは、わたしは出血が止まらない場合と考えています。
お腹を閉じる前には必ず止血確認をしますが、先述の通り子宮は血流が豊富なのでなかなか血が止まらないことがあります。
わたしが産科に関わっていたのはほんの数年ですが、その中でも何度もカイザー中、お産後の大出血の症例は見てきました。
中には10L以上出血し、麻酔科医と汗だくになりながら輸血をポンピング(=点滴の側管からシリンジを使って、点滴バッグに入っている血液を引き、血管内へ一気に投与すること。通常の滴下速度では輸血が追い付かないときに行う手技です)した症例もあります。
そういう事態にならないことがほとんどなのは事実です。しかし、カイザーに臨むママはこういったリスクが通常分娩より高いことはご理解頂きたいです。
話は赤ちゃん娩出後に戻ります!
赤ちゃんが先に退室したら、ママは寝てもらう施設が多いと思います。ここからはお腹に赤ちゃんはもういないので、眠るための薬を使っても大丈夫なのです。
皮下組織を縫い終わったら、皮膚をテープで寄せてとめ、ガーゼなどのドレッシング材で傷を覆います。その後、レントゲン写真を撮って、ママが退室して、手術は終了となります。
帝王切開は、術後がつらい!
自然分娩のように陣痛を感じることは基本的にないカイザーですが、術後の痛みは本当に大変そうです。
人間って、ただ生きているだけで腹筋って結構使ってるんですよね。起き上がる、歩く、横向きになる、くしゃみをする…ただ生きているだけで、腹筋を切って行うカイザーの術後はものすごい痛みを伴います。
そんな中、赤ちゃんのお世話がすぐに始まる…!地獄ですね、苦行でしかないです。
術後の初回歩行とか、本当につらいと思います…大体みなさん、点滴棒を杖にしてゾンビのように歩いていました。。😭
術後、翌日に会いにいくと「痛いです…」「痛くて眠れません…」「退院、できるのか…」と絶望していました。帝王切開、術後は本当に壮絶です。
ただ、術後6日目くらいで退院していくママたちはみんな歩いて、赤ちゃんを抱っこして帰っていました。
まだまだ痛みはあると思いますが、少しずつは日が経つごとに良くなっていくようです!
あとは我慢せずに薬を使うこと。「痛み」というのは、思うよりずっとストレスになります。
そして、お腹を切っている傷は絶対に痛いものです!
「これくらいの痛みで。。」って言うママさんたまにいましたけど、全然痛み止め飲んでいい痛みですからね!!
最後に
どんな出産方法でも、それぞれの背景があって、とっても尊いものです。
優劣なんて絶対につけられることじゃない!それは本当にわかってほしいです。
でも思い出として語り合う分にはとっても面白い話題なので、いろんな人の出産のお話聞いてみたいなとわたしは思います♪
threadでは育児についてボソボソとつぶやいています!気軽に話しかけてくださいね😊(@openurse.mama.marima)
最後までお読みいただき、ありがとうございました(*’▽’)
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