オペ看の仕事内容!「器械出し看護師」って何する?まりまが考える面白さ

仕事の話

前回の記事では、「外回り業務」の内容や面白さについてお話しました。

今日は一般の方がイメージする「手術室看護師」である器械出し業務についてお話していきます。

オペ室業務…「器械出し看護師」とは?

器械出し看護師は、「手洗い看護師」「直介(直接介助)」とも呼ばれます。

簡単に言うと、清潔野でDrの手術操作を直接介助したり、手術に必要な器械類を仕分け、組み立て、滅菌して準備する看護師のことです。

ドラマでは術中の介助の様子が描かれることが多いですが、実際は術前から器械の準備をしたり、術後は器械の片づけも行っています。

術前3日~術前日まで

  • 担当している手術に必要な器械の準備する。わたしの働いている整形外科病院では、骨折や人工関節手術の手術器械が外部のディーラーさんから持ち込まれることが多いです。そして、サイズごとにそれぞれ器械が届くので、かなり膨大な量になります…その器械を手術の手技やDrの好みに合わせて仕分けをして、組み立て、滅菌します。1つでも必要な器械を滅菌し忘れてしまうと手術が止まってしまうこともあるため、責任は重大で、緊張する仕事でもあります。
  • 患者さんの背景から必要な情報を取り、器械を準備する。患者さんに肥満があれば深めな筋鈎が必要になるし、TKAなどで反対側にすでにインプラントが挿入されている患者さんであればサイズを確認して、必要なものを滅菌する必要があります。外回り業務ではもちろん、器械出し業務でも患者さんの情報を収集することは必要な仕事です。

手術当日

施設によりますが、基本的に自分の担当手術の器械は自分で展開することが多いです。「器械を展開する」というのは、「自分が使用する器械を、器械台の上に清潔に並べて準備すること」を指します。

朝イチの手術なら始業~患者さん入室までに自分の器械を展開します。ただ、その1件の器械を準備すればよいのではなく、自分がその日のうちに担当している手術や他のスタッフの分の器械まで、複数の手術の器械を展開する場合もあります

患者さんの入室に、器械の準備が間に合わなければならないので、とにかく時間との勝負!「この手術の手技、なんだっけ。。」といちいち考えていると間に合いません。手洗いをして、ガウンを着て清潔野に入ってしまうと、自分の勉強したノートを確認することもできないため、手術前にどれだけ勉強して頭に手技を入れられるかが勝負です。

患者さんが入室したあとは、外回り看護師と一緒に麻酔導入や手術体位固定の介助を行います。

手術中は、皆さんご存じの通り直接介助を行います。

直接介助は、

  • 清潔なガウンを着て手術が始まったら誰も自分を助けられないため、1人で何とかするしかない
  • 手術中に手技が頭から飛んでしまっても、勉強ノートを見ることはできないため必死に思い出すしかない
  • 必要な物品を十分に準備していなければ、外回り看護師や麻酔科医、執刀医に迷惑をかけることになる

という点から、最初は慣れるまで非常に緊張する仕事です。わたしは今でも苦手な手術の器械出しのときは緊張するし、汗だくになるし、外回りの看護師さんに「もし困ったら呼ぶから助けて!」と声をかっけておくこともあります。特に苦手なのはTKA(人工膝関節全置換術)。総合病院に勤めているときから苦手な手術の1つです。整形単科に就職して数をこなして、だいぶ慣れてはきましたが…復帰したあと、担当になるの嫌だなぁと思っています。(笑)

そして、手術中に最も大事な仕事の1つである「器械・針のカウント」を施設で決められた適切なタイミングで行っていきます。

手術中に使用する器械やメス刃、縫合針、血管テープ、ガーゼ、ワイヤー類などは、器械展開をした時点で外回り看護師とダブルカウントをしておきます。その理由は、体の中に上記のものが遺残するのを防ぐため。あってはならないことですが、日本でも過去に何度も体内に針や器械、ガーゼが遺残する医療事故が起きています。そういった事故を防ぐためにも、非常に大切な仕事です。

手術によっては、手術中に追加で縫合針やドレーン類を追加で出すこともあります。わたしの勤める病院では、肩の人工関節手術や腱板断裂手術では40本以上縫合針を追加で出したりするので、器械出しをしながらそのカウントを行うのは一苦労!術野の要求に応えながら、手元に残る針・術野にある針が何本か数える…結構大変です。

そして、手術中にもし針やガーゼのカウントが合わなければ、執刀医に報告して術野で探してもらうことも必要です

執刀医は手術操作に集中しているので、もちろん手を止めて針やガーゼを探すことを嫌がったり、「あとにして!」と言われることもあります。でも、ここでひるんじゃダメ。伝え方には気を遣うけれど、数が合うまでは何度でもお願いしなければいけません。結構、しんどいときもありますが…(+o+)

手術が終了したら、器械出し看護師はドレッシング(創部を清潔な衛生材料で保護すること)したあと、外回り看護師と一緒に患者さんの麻酔覚醒に向けてまたバタバタと動いていきます。

その中で、手術に使用した衛生材料を破棄し、器械を整理してもう一度カウントして洗浄室へ下げます。

患者さんが退室したら、みんなで「お疲れ様でした!」と言い合って、器械出し業務は終了です!

「器械出し業務」を行う上で、大切なこととは?

  • 手術操作、器械の使用方法についての事前学習、終わったあとの復習。自分の理解が不十分だと、器械の準備に不備があったり、手術中に器械がわからず執刀医に迷惑をかけることもあります。そうすると手術時間も麻酔時間も延長して、患者さんの負担は増していく…という悪循環になってしまいます。
  • イレギュラーな事態への対応力が必要。手術中は、予期せぬ出血や器械の破損など、様々なことが起きます。そのときに慌てないようイレギュラーなことへの対応方法について日々イメージトレーニングをすることが大切です。
  • 執刀医の好み、クセを覚えること。同じ手術でも、執刀医によってやり方や使用する器械は本当に様々。「いつものちょうだい!」「俺の器械!」と指示されることも多く、きちんと覚えられていないと「は??」と手術がストップしてしまいます。全部を頭に入れることは無理でも、手術の肝となる場面で使用するお好みの器械は覚えておきたいですね…何人も何人もDrがいると、本当に大変ですが( ;∀;)
  • 外回り看護師でもそうですが、先を読む力。術野が見えているなら、術野を見て次に使いそうなものを準備しておく。Drの話に聞き耳をたてて、手術が難航していそうならバックアップの器械を準備しておくなど、器械出し看護師も気遣いが重要な仕事。普段から「何したいのかな?」という気持ちで人の行動を観察してしまうのが、職業病かもしれません(笑)

まりまが考える、「器械出し」の面白さとは?

わたしが「器械出し業務」で好きなポイントをお伝えします!

  • 手術手技への理解を深めるためには、器械出しをしながら一番近くで術野を見るのが1番手っ取り早い!本で勉強しても、外から手術を見学していても、実際に自分で術野に入って手術を見て器械出しをした経験には敵いません。百聞は一見に如かず、まさにこの言葉の通り。
  • 次何するのかな?の自分の予想が当たっていたときの達成感!わたしは看護師なので、手術を行うことはありません。Drが何を考えているのか、わからないことがほとんどです。でも、その中で「次これ使うかも」「次この手技にうつるかも」と頭を使って考えて、それがピッタリ合っていた時、「ヨッシャ!」と嬉しくなります。
  • イレギュラーな事態に焦らない精神が、いろんなところに活きてくる。手術中は、本当にいろんなことが起きます。わたしの経験の中でも、器械が破損したり、突然大出血が起きたり、虫が手術室内に入り込んだり…看護師の仕事はどの職場でも精神力が必要なことが多いですが、器械出し看護師は特に平常心を保つ力がつくと思います。それは仕事中だけでなく、子育てや日々の生活にも活きているなと感じる場面が多いです。
  • どんどん新しくなる手術方法を学んでいくのが楽しい!新しいことを勉強するのが好きな人なら、絶対に器械出しにハマると思います!
  • 無事に手術が終了して、Drや他スタッフと「お疲れ様」と言い合えるのが達成感がある。看護師の仕事は、病棟だと1人で行うことも多いと思います。でも、手術室では必ずチームで動くため、1件手術を終えると、必ずみんなで「お疲れ様」と言い合えるのも良いところだと思います

器械出しって、面白そう!やってみたい!

いかがでしたか?器械出し看護師の仕事は、実は術中だけではないこと、器械を渡すだけじゃないこと、わかってもらえたらなぁと思います♪

最近は、MEさんが器械出しをする施設も多いですが、わたしは可能な限り器械出しはやりたいなぁと思っています!もちろん、器械出しができるスタッフが増えることは喜ばしいことなのですが!

少しでも、この記事を読んで「手術室看護師」「器械出し看護師」に興味を持つ人が増えてくれたらいいなと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました(*’▽’)

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